AEVE ENDING
アミが言う通り、検査の結果、アダムとして覚醒していたのは私の方だった。
これはいわゆる「異常事態」だったらしい。
アダムが人間に思考を流すなど、今の今までなかったことなのだ。
世界中がアダムについて研究を進める中、私はこの時から既に「イレギュラー」だった。
更に、検査の結果は「陰性」。
アダムとして著しく能力指数が低いことを指し、その後の騒ぎといったらもう、思い出したくもない。
(…てことになってる)
『表向き』は。
「ま、実家に助成金が保証されたから良かったわよ、お互いにさ」
アダムと判断されたからには、例え幼子でも親元から離されるのが必須。
産まれて数ヶ月と満たないうちに隔離されるケースも少なくない。
だからこそアダムの親族には、失った身内の代わりに国から補助金が普及される。
未だ大戦の傷跡が残るこの発展途上の星で、一般市民がなんの不満も不足もなく生活を送れるなど、まずないのだ。
もともと貧富の差が激しい社会だったが、大戦後はそれが激化した。
上流階級の人間がステーキ肉を食べている頃、一般市民はパン屑か具のない猫まんまを啜る。
言い換えれば、国が親に大金を支払って私達を買ったということ。
それはつまり、大金と引き替えに売られたも同然だ。
―――しかし、我々アダムに自身の境遇を嘆いている暇はない。
なにせ新人類アダムには、この死にかけの星の復興と再生いう使命が課せられているのだ。
まぁ、こんな落ちこぼれを捕まえて使命もクソもないけど。
あ、凹むわー。
「ちょっと、なに落ち込んでんのよ。あんたの波長が人とはちょっと違うから、周りにうまくテレパスを届けられないだけだって、ミスレイダーも言ってたでしょう」
半眼になって落ち込んでいる私に気付き、アミはけらけら笑った。
そうなんだけど。
そうなんだけどさぁ。
抱えるものは皆一様にある筈なのに、私は心身ともに空っぽだ。
「違う波長、ね…」
それは、なんだろう。