AEVE ENDING
「…世界の終焉も、過去の罪も、裁きも破壊も、もう、どうだっていい」
そんなものに縛られている己が一番不快なのだと、何度。
それなのに。
『雲雀』
冷たい底で、ただ佇んでいた。
己の宿命を見定めながら、ただ冷たくなっていく指先に、唇を噛み。
『雲雀、ねぇ』
それなのに、何故いま、こんなにも暖かい。
世界が、緩やかに逆転してゆく。
『ひばり、』
愛しさ、などというもの、知りたくもなかった。
知ることもなく、ただなにも考えず、安らかなまま終焉を迎えたかった。
『…ねぇ』
それなのに、何故いま、こうまで冷たい。
内臓が今にも凍り付いていくような錯覚に陥る。
腕の中は焼けるほど、熱く朽ちているのに。
『―――ひばり』
その名を紡ぐのは、彼女だけで良かった。
「橘がいないなら、もう」
コンナセカイ、ハジメカラ、ナクテヨカッタノニ。