AEVE ENDING
(呪われるべきは、誰だろうか)
拘束されていた腕を振り払う。
きたない。
みにくい。
しんでしまいたい。
「…っ、」
ぼたりと落ちたのは透明な液体だった。
血であればどんなによかったか。
真白のシーツに歪な染みを作ったのは、罪を悔いる者の証か。
こんなもの流したところで、なんの償いにもならない。
だってもう、戻らない。
「…っ、やだ、もう、」
消えたい。
あんな幼い子の、大切な大切な妹の首に手を掛けて。
指の腹が小さな喉仏を押さえつける感触を今でも覚えている。
掌に込める圧力に、頭と胴を繋ぐそのパイプが少しずつ狭くなる。
『…なにを躊躇っているのかね?』
痛みはきっとなかった。
ただただ、筆舌しがたい苦しみが、互いに。
苦しみが、喉を衝く。
『苦しんでいるよ。君なら、一瞬で終わらせられるだろうに』
そんな言葉に翻弄されて。
「あの子が、苦しんで、ゆっくり、目を閉じて、く、瞬間を」
望まなかった。
だって。
「…っ苦しみや痛みに耐えられたのは、生きてうちに帰って、また、あの子達と、一緒に、ご飯食べたいって…、また、一緒にお風呂に入って、笑って、…」
救いであり支えであり、もはやそれしかなかったのに。
そうだというのに、私は。
「ころした…」
希望の光を、自ら貶めたのだ。
一番最悪の結果で。
一番、憐れな方法で。
そしてなにもかも救えずに掌から大切なものばかり溢れていく。
『―――結局、君は』
雲雀も、傷付ける。
だって、私は。
『子を残して、引き継ぐことを望む』
だめだ。