AEVE ENDING
「…雲雀」
罪にまみれた私の、最期の我儘、聞いて。
好きだよ。
誰よりも、好き。
あぁ、こんな陳腐な言葉じゃ表せない。
この深きを埋める存在はあんただけだって、どうやったら伝えられるだろう。
歯痒い。
雲雀、私ね。
「キスして」
だから代わりに、そんな無様な言葉に乗せて。
想いは海より深いのに、空のように掴めない。
「…たちば、」
そうして驚いた顔すら泣きたくなるほど愛しいのだと、どうしたら伝えられるだろう。
抱き起こされた上体は雲雀と重なるように向かい合って、ごく近距離で紡ぐ。
綺麗な肌が眩しくて、思わず瞼を閉じた。
涙を抑えたかったんじゃない、決して。
―――ねぇ、雲雀。
「…キスして」
これでもう、最期にするから。
「…橘?」
涙はとうに枯れ果てたと思っていた。
(こんなに、愛しいのに)
悲しみと苦しみで流した涙の醜いことと言ったらない。