AEVE ENDING
「た、たきお」
そうして新郎に抱きつかれた新婦は、身に纏っている純白とは裏腹に顔を真っ赤に染めてしまった。
「ヤバい、アミ。かわいい、きれい、ベリーキュート!ビューティフルェウウウッアアアアイラヴユーゥウウウッ!」
うざすぎる。
酒に酔っているような振る舞い―――いや、既に酔っ払っている勢いだ。
(確かに酔てんのか、幸せに)
それはアミも同様。
いつもなら大人びた表情のアミが、今日は随分と乙女チックな表情を浮かべている。
幸せ一杯、春爛漫。
(―――当然か。結婚式だもんなぁ…)
純白のドレスは奥田が雲雀に頼み込んでオーダーしたものだ。
彼本人が着ているタキシードも同様に。
白いフォルムを美しく着こなす二人は、まさに本日の主役に相応しかった。
そんな彼らを見てほくほくと笑みを浮かべている真鶸も、なんだか幸せそうだ。
勿論、この部屋だけじゃない。
会場であるテラスに出れば、アミの友人、奥田の知人達がひしめきあっていることだろう。
交流期間を過ぎても未だ居座っている米国大使達もおいでだ。
西部箱舟、幸せ一色である。
「花婿が花嫁を乱してどうするのさ。時間だよ」
―――カツリ。
革靴を鳴らし部屋に入ってきた雲雀は、グレーの色味を抑えたシックなスーツだ。
雲雀が着飾って出ると、否が応にも主役二人より目立ってしまうので、式には出席しない。
(…というより、秘密があるから)
倫子と雲雀で企んだ、小さな祝い事と秘密の為に。
「兄様、アミさんすごく綺麗ですよね!」
真鶸が子犬のような目で笑う。
雲雀はそんな真鶸に優しげに頷くと、倫子を見た。
「…なにさ」
「うまく着飾ったね」
「ササリに習って勉強したもん。花嫁の作り方」
奥田がアミにプロポーズしたのはほんの一ヶ月前のことだ。
馬鹿馬鹿しい話だが、酒に酔った勢いというやつで―――勿論、その想いに偽りはない―――ベッドの上で、今まで溜めに溜めてきた気持ちをぶちまけたらしい。
当然ながら、アミの返事は「イエス」。
そこで一気に酔いが醒める奥田。
あまりのサプライズに我を忘れてはしゃぐアミ。
大切な女性から頂いた「イエス」を噛み締める奥田。