AEVE ENDING
そうしてその日から愛に酔っ払ったままの勢いでこの日を迎えたわけである。
巻き込まれた倫子や雲雀、ササリはじめ、真鶸やゆかり達は大変な多忙を味わったが、幸福に満ちた忙しさだったと言える。
なによりも、心からめでたい親友の結婚式だ。
「お二人とも、時間ですよ」
そうして二人を神の御前に導くのは、真鶸の役目。
緊張はしてないらしい。
二人の幸せに充てられて、真鶸までアナセスにプロポーズしかねない勢いだ。
部屋を出る間際、アミの視線が倫子に小さく投げられて、柔らかな「ありがとう」を一つ。
(…おめでとう、アミ)
―――心からの祝福を。
そのままアミは奥田に手を引かれ、真鶸にベールを引かれ、幸せの扉へと向かう。
至福に満ちた二人の背中を見送りながら、雲雀が小さく呟いた。
「寂しい?」
白亜の扉が開き、主役を迎える歓声に掻き消されるように。
「…そりゃ、ね」
苦笑する倫子の頭を、雲雀が腕を回して包み込む。
長く節くれ立つ、けれど女性のような指が皮膚を擽って、これがあるなら、という気持ちにさせる。
「…まぁ、大丈夫」
この二人の秘め事は繊細な今日、皆にやっと宣言されるのだ。
「あんたがいるしね」
倫子が笑えば、雲雀も小さく口角を上げた。
そして宣誓の意味を込めてひとつ、まっさらなキスを。
―――そうして私達は、二人で生きていくことを決めた。