AEVE ENDING
「嘘は見破れる。教えてよ、…君が知る真実をね」
雲雀が、瞳を細めて直視した。
底冷えしていく空気に、倫子がさっと青ざめる。
(…こいつ、えげつねぇなぁ)
端から見ていた真醍は、少しばかり倫子に同情してしまった。
高圧的な態度は天下一品。
逆らうこと自体させまいと、酷く抑圧した声で倫子を促す。
倫子は目元をヒクリと痙攣させると、観念したように口を開いた───。
ドカンッ…。
「え」
そう間抜けに声を発したのは、真醍だった。
斜め前に立つ雲雀は動揺した様子もなく、つい先ほど倫子が突っ立っていた──今は土煙に覆われている場所を眺めている。
倫子の姿は、影すら見えない。
「トノオォォ!!!」
アレ。
砂煙の中から真醍には聞き覚えのある声がそう叫んだ。
怒号のようなそれは、島中に響き渡る―――。
「…トノ?」
その正体不明の怒声に、雲雀は眉間に皺を寄せていた。
ざらざらと砂煙混じりの風が過ぎると、やっと視界が開けてくる。
「殿!ご無事ですか!」
茶色い幕が引かれて出てきたのは、北の島老中と島の護衛隊――島民の生活保護を担当する機関――だった。
「爺…」
完全武装した身内に呆れ果てた視線を向ければ、爺は厳つい顔で雲雀を睨みつけている。
「殿以上の力の気配を感知しました故、助太刀に参上つかまつりましたでございます!」
(参上…、て言われてもなぁ。俺が全力で勝てない相手にお前等が束になって勝てるわけないべ)
しかし思ったことは口に出さない。
忠実な仲間に、寧ろ労いの言葉をかけてやるべきだ。
ガシャッ。
―――掛けようとしたその時、斜め前にいた雲雀に銃が突きつけられた。