AEVE ENDING
───数分後。一通り雲雀に殴られた倫子と真醍は、床に正座させられていた。
「先ず、僕が中の様子を透視で探る。島民の人質とやらが居る場所を関知できたらそこへテレポート。人質を全員連れて、この城まで再びテレポートで戻る」
その間、君たちはお留守番だよ。
(そうだった…。こいつ、「修羅」だった)
雲雀の計画を耳にした倫子は、その内容のレベルの高さに思わず感心する。
透視もテレポートも、第一線で活躍しているアダムのなかでも使える者が制限される高い能力だ。
なんとなく雲雀に任せておけば万事うまくいくような気がしてきた。
どうせなら全てカタが付くまで留守番でいい。
(私を知ってる「人間」に遭ってみろ。暴露大会必須じゃね?)
そんなことを考えていると、隣で顔を二倍に腫らした男が、タイミングよく代弁を果たす。
「すんません雲雀さん。俺らがそれに付いていく意義が見出せません」
その通りである。
今の話じゃ、雲雀ひとりで充分、役をこなせるじゃないか。
「…なに、君。この島の頭領のくせに、島民の安全を第三者の僕に任せる気?…まぁ、その時は僕がこの島を貰うからいいけど」
「あ、すんません。オラどこまでも付いていくッス!」
しゅぴっと立ち上がり、腫れ上がった顔で敬礼する。
(おい、なに簡単に引きがってやがんだ、お前)
情けない真醍の姿に、倫子は思わず胸中で突っ込んだ。
(ウルセー!じゃあテメェが反論してみろ)
「…え、」
頭の中に入り込んできた乱雑な「声」に、倫子は思わず顔を上げる。
「…あんた、テレパス使えたの?」
「この島、人間ばっかじゃねーもん」
いや、そうなのかもしれないけど。