AEVE ENDING




―――あれ?


「あのさぁ、なんで北の島は反アダム派なんて言われてるわけ?自分達の中にもアダムが居るのに?アダムとして産まれた子供を処分した話は?」

考えてみれば、箱舟で聞いていた話とは随分と違う。
確かに野蛮ではあるが、話が通じないほどではないし排他的でもない。
ならば、アダムの間で出回っているあの話は?

「ガセだろうね。この島に近付いて欲しくないアダムが居るんじゃないの」

雲雀が私の考えを読みとったように、言う。いや実際、読み取ったんだろうが―――。


「なんだ、その処分とか」

雲雀の言う通り、真醍は倫子の言葉に訝しげに首を傾げている。

「ガセって…、でも、反アダム派ってのは強ち間違ってはいないし」

ジジイ共を見れば一目瞭然だ。
明らかに、「アダム」という言葉に過敏に反応している。


『―――幼子や女、老人、なんの区別もなく、連れて行きやがったんだ』

あぁ、そうか。

「アダムの研究者達に島民を拐われ、アダム狂信者には島の地下を奪われる」

動機は充分、ってわけか。

「…でも、この島にアダムを近付かせたくないって、一体、誰が…?」

北の島について謎は解けたが、一番肝心な謎が残った。

「さぁね。探るにしてもこの島に居る限り無理だ」

なにせ規模が一国の行政に関わっている。
そうなると、この鎖国「北の島」に居ては、問題は解けないだろう。

「地下世界の奴らなら、なにか知ってんじゃねえの?」

真醍が刀を手に取り、ぐ、と背伸びをした。

「だろうね。…行こう」

それを合図に、雲雀は立体の地図を一瞥した。
そのまま長たらしい足を出口に向けて、扉を開ける。

「は?」

真醍と倫子の声が被る。

「行くよ。なにしているの」

呆気に取られた倫子と真醍を振り向き、雲雀は冷ややかな視線で促す。

「…私、行きたくないんですけど」

どうして行くことになっているのか、全く理解できない。
そんな倫子に向けられた雲雀の冷ややかな、凍り付きそうな、眼。




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