AEVE ENDING
「傷付いたの?」
パートナーは遠慮もなく、不躾なことを平気で口にする。
「…どうして、」
「そんな顔、してる」
そんな顔、ね。
きっと不細工なツラをしているのだろう。
(今の私の心ん中、まんま)
倫子の耳に、雲雀の革靴が鳴る音が吸い込まれていく。
「嗤えば」
「なにを」
カツリ。
俯いた視界に、雲雀の、汚れ一つない真っ黒な革靴が入ってきた。
(…あれだけ暴れたくせに、)
足掻いても足掻いても、綺麗なままじゃいられない、わたし。
「…嗤えるじゃん」
今の私の、姿は。
「惨めだから?」
そうだよ。
「…、」
的を射た雲雀の言葉に、口角が勝手に自嘲を象っていた。
───ほんと、嗤える。
(倫子、痛みは無駄に)
混じり合うことすら不可能なのだろうか。