AEVE ENDING







「……な、ぜ、あの男、の、…傍にいる」

声も枯れ途絶えさせながら、問い掛ける男。
それはただ不思議がっているだけの疑問で、まるで。


「───あんたが、それを問うの」
「ハ…、……お、かしい…か?」

涸れた喉で、男は私を嗤う。

―――あぁ、違うか。
あんたは、自分自身を、嗤っているんだ。



「…おかしいよ」


(かつてそれを望んだのは、あんた達だった)




「…たちばな」

息も絶え絶えに。

肺をやられたのか。
ゼェ、と涸れた喉が鳴く。

この男のこんな弱った姿、見たこともなかった。



「…なに」

そう昔でもない昔、私を、好き勝手にいじりまわして棄てた男が今、息絶えようとしている。


「神の、器を狙…う男は、おまえたちの、傍に、」

ハ…、と熱く苦い息が吐き出された。
どういう意味、と尋ねる前に、男は力なくその頭を垂れてしまう。

あっけない最期だった。
生前、あれほどの諸行をしてきながら、恐ろしいまでに。


―――それを、感慨もなく眺めている自分が、こわい。




「…死んだの」


(悲しむことも、怒りすら、湧かない…)



「さよなら」


今の私を、作った男。








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