AEVE ENDING
(…白と白が、融けそう)
触れた指先、まるで神の体温を大事に抱えるように恍惚とするリィの姿に、雲雀はやっと口を開いた。
「―――なにを、僕に求めているの」
雲雀の冷ややかな声は、まるで。
まるで。
「神様……」
恍惚としたまま動けないでいるリィの代わりに、ロゥが小さく囁いた。
「僕らと一緒に来て下さい。貴方の力が、僕らには必要なのです…」
縋りつく年若い男が涙を浮かべてまでそう口にした。
「そうです、神様。どうか、私達と共に世界を…」
―――狂信的。
眼を爛々に輝かせた姉弟は、先程の馬鹿っぷりは微塵も垣間見せない。
「貴方様は、こんな汚染された場所に居てはならない」
必死で説得するように、リィが再び雲雀に手を伸ばす。
周りが見えていない瞳で、ただ一心に雲雀を映しているのか。
「…悪いけど、僕はそんなものに興味ない」
縋るように伸ばされたリィの手を払い落とし、雲雀は近くに立っていたロゥの顔面を正面から鷲掴んだ。
「…え、」
リィとロゥの眼が驚愕に見開かれる。
雲雀の突然の行動が理解できないらしく、抵抗らしい抵抗はなかった。
そんなロゥに、雲雀は爽やかに笑いかける。
「良いことを、教えてあげるよ」
赤面してしまうほどの美笑を浮かべ、長い睫毛をはたりと瞬かせた。
「か、み…」
頭を掴まれたまま――美しい指の隙間から見開かれた目が、これでもか、というほど見開かれている。
―――さま、と続く筈の言葉は、爆音に掻き消された。