AEVE ENDING
「…君たちのお姉ちゃんは大丈夫。上着、持ってきてくれた?」
とうとう泣きべそをかき始めた子供達の前に、倫子を抱えたまま膝を着く。
ベソをかいた子供はこくこくと頷きながら、必死に握り込んでいた上着を倫子に掛けた。
「おねーちゃん…らいじょーぶなの?」
「かおまっしろだよ!」
真っ青の倫子を覗き込み、子供達は心配そうに喚き散らしている―――言葉は悪いが、雲雀にはそう聞こえているのだ。
「わあん!」
「しんじゃやだあー!」
五月蝿い。
会ったばかりの倫子の為に、何故ここまで泣けるのだろう。
(…大体、死んでないし)
性質の悪い早とちりは聞いていて気分が悪い。
例え本当に死んでいたとしても、ここまで泣く必要があるのかすら解らない。
「…どうして泣くの」
解らないので訊いてみた。
子供達は雲雀の問いに目を丸くしてびっくりしている。
純粋な目が、まるで不思議なものでも見るように雲雀を見つめていた。
「おにいちゃんは、なかないの?」
逆に、聞き返された。
「……だって、君たちは会ったばかりでしょう?死んだら悲しい?何故?」
聞き返しへ対する答えなど決まっている。
泣くわけがない―――ので、大人げないが聞き返しに更に聞き返した。
すると純粋な生き物は、かくりと小さく首を傾げた。
「…おねーちゃん、いいひとだよ?」
「わたしたちのこと、すきって」
「かわいいって、いってくれたよ」
え、それだけ?
雲雀は珍しく呆気に取られた。
単純明快。子供は強い。
「…まぁとにかく、大丈夫だから」
これ以上こんな奇特な生物を相手にしてはいられない。
雲雀は子供達の視線を振り切るように立ち上がった。