AEVE ENDING
そのままたっぷり三十分。
様々な葛藤と羞じらいと闘って風呂から上がると、いる筈の雲雀の姿がなかった。
「…あれ?」
キッチンにもクローゼットにも、テラスにも居ない。
少しだけ乱れたベッドカバーが、唯一、雲雀が先程まで確かにここにいたことを証明していた。
(…怪我の手当てにでも出たかな)
姿のない男を思い、様々な思いに駈られた溜め息が漏れる。
(秘密を抱える相手が一番近くにいるなんて、不利だな……)
しかも闇組織の中に、この身体の秘密を知る者がいるとは。
·····
それは、第二の「私」となにか関係があるのか。
更に危険なことと言えば。
「いつ雲雀に暴露されるかわかんないし」
───蓋をした筈の私の醜悪な事実を、姿の見えない他人がひっくり返そうとしている。
あの清廉潔白な男に抱くこの感情は、芳しくないものだというのに。
もし暴露され、必要ないと、「廃棄」されたら―――。
「クソッタレが」
私は、傷付かずに済むのだろうか。