AEVE ENDING
(いや参ったね。たかだか生徒に、あんなのがいるなんて)
奥田は短い髪をがしがしと掻き回し、肺の中の空気を吐き出した。
臨む灰塊の空を映す海が、悲しい。
(まさかここまで成長するとは思わなかっただろうよ、…あんた達も)
そうして孤独めいた独白は誰に流れることもなく、彼の中で音もなく消えた。
水平線に突き出ていた水没した旧文明の建築物を気分のまま、力を使って分解、霧散させる。
鉄橋だったであろうその残骸は砂のように細かくなり、音もなく空気に融けていった。
つい先程まで水平線を遮っていた巨大な物を、跡形もなく消滅させてしまうアダムの「力」。
それを手にし、こんなにも簡単に消し去る事が出来るというのに。
―――それなのに、犯した過ちは消えてなどくれない。
「世の中、厳しいよなぁ、おい」