AEVE ENDING
「なんて暢気な…!貴方ほどの地位ならば、西部箱舟などどうとでもなりましょう!もし彼女が雲雀さんに余計な口を…」
騒がしい。
何故こんなにも、喚く必要があるのか。
これでは。
(───マリアにはなりえぬ)
「余計な事とは、また大層な口をお聞きになられる。貴女様の大事な大事な「雲雀」を救ったのは、誰であったか…。はて、私の記憶違いでしたかな」
いけしゃあしゃあと皮肉を言い放たれた女は、言葉を詰まらせた。
そのまま浅い息を繰り返し、落ち着こうと試みているが、怒りを露わにすることに慣れていないのか、湧き上がった感情はすぐには引かない。
それを一瞥し、桐生は口角をゆうるりと持ち上げた。
(罪状を忘れた咎人を待つのは、赦しではない)
わかってはいても桐生に権限はない。
裁くべきは、いつの世も神で在るべきなのだ。
「…まぁ、できないことはないでしょうな。少しばかり時間は掛かりますがね」
あぁ、ならば、少しだけでも仮初めの救いを。
「時間などありはしませんわ。彼女がもし、」
先急ぐ客人を白濁した視線で制し、桐生は口を開いた。
「彼女が自ら喋ることはありますまい」
それは、真実。