AEVE ENDING
「凄いね。かなりの大プロジェクトじゃない?」
隣に立つアミが、声を潜めて耳打ちしてきた。それに無言で頷きながら、再び前を向く。
移した視線の先に垣間見えた、一際目立っている人物。
東部の先頭、―――「修羅」の姿。
(…あいつとだけは、勘弁願いたい)
なにせ、「直感力」。
直感力とはテレパスの一種で、人間が本来持つ「勘」というものを更に鋭く、正確にしたものだ。
人間が行う「占い」に近い面もあるが、アダムのそれはそんな曖昧なものより的確。
人体に向けての精神的な透視に近いので、虚言や誤魔化しもあっさりと見抜かれる。つまり、根拠に基づく采配にはならないという事だ 。
ただの「勘」。
或いは奥田の気分の気紛れ。
けれどそこには計り知れない数々の根拠があり、「運命」と断言してもいい。
有り得るのは、全ての可能性。
(つまりあのスズメとパートナーになる可能性もゼロじゃない。いや、もしかしたら朝比奈かも…)
考えて、一気にテンションが落ちた。
あんな別世界の人間とどう協力し合えるというのか。
「今から発表されるペアは、それぞれ前に出て相手を確認なさい。その後は各自渡された書類に従ってあてがわれた相部屋へと向かうこと。行動は機敏に、余計なお喋りは無用ですよ」
浜辺でのいざこざを思い出しうんざりしていると、再びミスレイダーの鋭い視線が生徒達へと飛んだ。
つまり、采配が発表されるに比例して、このホールから人が減っていくという仕組みか。
「最後まで残ったら貧乏クジよね」
アミの耳打ちにまたも無言の相槌を返す。
これだけの人数が要れば、時間もかかる。
立ち続けたまま最後の最後まで采配を待たなきゃならないなら、それはもう貧乏クジ以外のなにものでもない。
―――こうして、西と東を交えた大規模な采配発表は開始された。