AEVE ENDING
「―――話して」
部屋に着くと、真醍は早々に雲雀のベッドに胡座を掻いた。
雲雀はソファに腰掛け、倫子はそのソファの足掛けに背凭れて座っている。
「奥田はどうしてあんたを呼んだの?」
立て膝に顎を埋めながら倫子が問うと、真醍は腰に差した刀の紐を解きながら答えた。
今まであまりまじまじと見なかったが、随分と美しい日本刀だった。
黒漆の柄に深紅の紐がよく栄えている。
現存しているなかでも、使用されているのはこの刀くらいだろうに、手入れも管理も、きちんとされているようだった。
倫子が刀に見とれていることに気付いたのか、真醍が小さく笑った。
「おまえらが悪の組織に狙われてっから、加勢にきてやってくれってよ」
真醍はあっけらかんと言い放ったが、倫子も雲雀もその誘い文句に呆れた。
加勢とはいえ、一応は反アダム分子の頭領の座にいる真醍に対して大胆過ぎる。
「よく島を出てきたね。トップなしで島民はやっていけるの?」
頬杖をついている雲雀の言葉に、真醍はにかりと笑って見せた。
「俺は確かにあの島の頭領だが、島民を統べて治めてるわけじゃないんだ。あいつらにはあいつらの生活があるし、決まりもある。俺が抜けたくらいで騒ぐような根性なしでもねぇよ」
島民を信頼しているからこそ、自信を持ってそう言えるのだろう。
「猿…ちょっとカッコいいね。見直したよ、猿」
素直に褒めたら、ベッドから飛び降りて抱きつかれそうになった。
当然、抱きつかれる寸前に殴ったが、雲雀には何故か倫子が殴られた。