AEVE ENDING





(あんた、何様のつもり?)
(雲雀様だよ)

雲雀が飄々と皮肉を受けとめると、倫子の眼孔は更に鋭くなる。

心底から腹を立てている顔。
牙を剥く眼。

身の程も知らず、果敢に唸る姿は嫌いではない。
それをぐちゃぐちゃに潰した時の爽快感は、なにものにも換え難いから。


(最近じゃ、その眼を向ける人間も少なくなったし)

賢い獣は、小利口にも飼い慣らされる事を覚えるのだ。
しかし目の前の愚かな犬はまだ懐かない。
雲雀にとって、それがとても愉快だった。




「発表しまーす」

剣呑な空気が雲雀と倫子の間に漂い始め、そのなかに奥田の間抜けな声が響く。

ざわりとざわめく周囲になど、意識も向かない。



「橘倫子のパートナーはぁ」

未だ倫子は、雲雀を睨んだまま動かないでいた。


(いつかぶっ殺してやる)

ギリギリと雲雀を睨み殺すようにテレパスを送る、強烈な「眼」。

(その言葉、そっくりそのまま君に返してあげるよ、……橘)

それを鼻で嗤って叩き落とすのは、雲雀。



「なんとびっくりー!」


その間を縫うように、奥田が声を張り上げた。



「東部の修羅、雲雀くん!でぇーす」









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