AEVE ENDING
「―――雲雀」
パートナーの登場に、どこから現れたのか鍾鬼が雲雀へと歩み寄ってきた。
雲雀はそれを一瞥しただけで、無表情のまま辺りを見渡す。
「…遺体は見つかったの」
最後に見た貧困エリアと、今現在ではかなりの差がある。
あの時は、燃え盛る炎に喰い散らかされていた木材や物資も今やただの炭の塊となり、渇いていた土地は雨と消火活動によりぬかるんでいる。
そこここに崩れた構築物が重なり、探知系のアダム達が未発見の死体が埋まる位置を絞り込み収容する形をとっているらしい。
「今のところ、八体」
八体。
数百名は生活していたこのエリアにおいて、たった八体の死体の行方が知れていなかった。
既に、救済作業が始められて半日は経っている。
いくら半人前のアダムとはいえ、その数字は少なすぎやしないか。
「少ない、…」
雲雀が考え込んでいると、鍾鬼が賛同するように小さく囁いた。
―――その通りだ。
「…本当に、八体だけなの?」
その言葉に、鍾鬼は黒焦げになったエリア全体を見渡す。
「俺も探った。でも、もう、ない」
その言葉に、雲雀も鍾鬼同様にエリアを見渡した。
白く高い壁に囲まれた区域内。
そこに存在する様々な障害物を透視し、人体を探る。