AEVE ENDING





互いを睨み殺す勢いで眼光を鋭くする男達の終わりのない膠着状態に、先に飽きたのは鍾鬼だった。
重い溜め息を吐き、大仰に肩を竦める。


「けれどこちらも仕事だ。しくじれば、俺が殺される」
「別に構わないよ。君が僕の前から消えたって、なんら支障はないもの」

こういう状況じゃなければ見惚れていただろう美しい微笑を浮かべ、雲雀は即死レベルの毒を吐き出す。

しかし、鍾鬼も負けてはいない。
そんな雲雀を鼻で嗤いつつ。

「俺は消えて構わないのに、この女が消えるのは嫌だと?」
「当たり前でしょう。それは僕のペットだからね。例え役立たずのノロマだとしても、僕のものを他人に施してやる義理はない」

突っ込みたい点は多々あるが、雲雀が倫子を組織に差し出す気がないことだけは確かだ。

(―――助かる?)

雲雀がこちら側についてくれれば、他の誰もいらない。

(なにせ奴は、世界に君臨する魔王だ)

味方としてこれ以上頼もしい男もいまい。

雲雀が敵になれば、倫子の死は確実だ。
けれど、今のところ利害は一致している。
ならば味方と呼べるのではないか。

(果たしてあいつが、「味方」なんていう友好的な名称で呼べるかどうかはともかく)

緊張感がピリピリと肌を焼く。
ただでさえ能力値が尋常でないふたりが揃っているのだ。

(…体が、芯から震える)


───それぞれ母国にて、「神」の称号を与えられたアダム。

誇りも能力も、そして威厳すら、そこらに転がるアダム達とは比べものにならない。

(そんな奴等が、)

力を解放してみろ。

完璧なアダムですらない倫子は、ひとたまりもない。
力の摩擦に全身焼き爛れて死んでしまう。





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