AEVE ENDING
───バチ、ッ。
遠のく意識の端、鼓膜を引き裂くような音がした。
真っ暗になりかけた視界に鞭打ち、視線を巡らせれば。
「…遅くなりましたわ」
煙に揺らぐふたつの影が口を開く。
見覚えのある、似通ったシルエット。
「あぁ、リィ。ぶっ飛ばし過ぎたら危ないよ。ほら、髪に石が絡まっちゃう」
「ありがとう、ロゥ。大好き」
聞き覚えのある声。
これは。
「遅かったな、双子」
鍾鬼が口を開く。
砂煙が晴れれば、同じ顔をしたオッドアイが覗いた。
それと目が合えば、肩が竦むほど、異常な色彩が歪んでいる。
(以前にも増して、キレてる…)
意識下で触れる、双子の圧力が明らかに、酷く悪質になっていた。
(私にも、それが解るくらい)
「ふふっ…、間抜けな格好」
「罪人にはお似合いだよね、リィ。十字架に張り付けてやろう」
双子は倫子の姿を確認するなり、そうせせら笑った。
相変わらず、性格が捻じ曲がっている。
言い返してやりたいが、今は口を動かす余力もない。