AEVE ENDING




「し、しかし、これではあまりにも…」

言われた梶本は身に覚えがありすぎるためか、バツが悪そうにたじろいだ。
しどろもどろ反対を示す言葉を気にもかけず、奥田はなおも続ける。

「あまりにも、…なんですか?僕の直感力を信じたのは誰でもない、あなただ。そう明言したのもね」

なんて性格の悪い男だろうか。

(騙しやがったよ)
(姑息な真似を…)

そんな奥田を前に、それぞれ倫子と雲雀のテレパスが重なった。
思いもよらず通じ合ってしまった二人は、しかめ面のまま互いに顔を見合わせる。
とはいっても、雲雀のそれはしかめ面とも言い難い無表情なのだが。



「…それからなぁ」

奥田は梶本から視線を外すと、今度はざわめく生徒達へと顔を向けた。

「アダムとして半人前のクソガキ共が、教師の決定に偉そうに口出しすんなぁ。迷惑だから、俺」

仕事でやってるだけだしさぁ、それにいちいちクレーム付けられるの困るんだよね、俺って熱くないから、そーゆーの真剣に対処できないわけー。

馬鹿みたいなセリフを馬鹿みたいに連ねたが、これは効果テキメンだった。
確かに、未だ未熟な生徒達がアダムとしても大先輩である奥田の采配に口を出すなど過ぎている。
しかし、納得するかしないかは別の問題だ。

心底から畏敬する「修羅」のパートナーが、「イヴ」と云われるアダムの出来損ないだなんて。
自分達より余程格下のアダムのなり損ないが、あの修羅の隣を赦されるなど。

しかし奥田の言うことももっともなのである。
感情と理性が葛藤する生徒達は、口を閉じるしかなかった。


「…いやあの、もうちょっと頑張って欲しいんだけど」

静かになってしまった生徒達や教師を眺めながら、倫子も困ったように呟いた。




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