AEVE ENDING




まさしく引き金はただの引き金であり、放たれた銃弾の軌道になど責任はとれない。

半殺戮に近い戦争が、世界中で勃発した。
触発された国々のトップから襤褸が出て、それこそ同盟国として親好を深めていた国が明日は敵となる。

最早、国同士の協力などそこになく、果たしてなにを目的としていたのか、権力者にありがちな世界統合を目指す夢物語を実現したかったのか、それを競いあい、奪い合ったのか───、やはり詳細は記していないが、この戦争は人類の歴史のなかで最も劣悪であり恥辱であり、汚点であると謳われている。

ならば最初からするな、とはそれこそ後の祭りであるし、戦争を防ぎきれなかった国際的機関の不甲斐なさも顕著であった。


そうして勃発した戦争において、国家自体、或いは土地自体消滅したものも少なくない。
栄えていた文明はその歩みを止め、世界は機能しなくなり、既に場をまとめる器量の人間など皆無であった。

残ったのは、ただヒトイズムに組み込まれた本能に従いひたすら逃げて逃げて敵に向かうことなど空の彼方、ひたすら生き延びることしか考えなかった、それしか考えざるをえない、脆弱だが逞しい人の姿だった。

終戦後の世界はまさに、地獄絵図と呼ぶに相応しいと云う。

各国様々に改良されたミサイルの残骸がそれこそ土の代わりに地面を埋め、植物らしきものはついぞ枯れ葉て見つからない。

家も畑も都市もそして人も、ただの瓦礫の一部になった。

荒廃した荒れ地になった都心部には人の血肉が石ころのように転がり、腸や排泄物にまみれ、人が住んでいた形跡などなく、それら形を成さない死体しかなかったくらいだ。


―――世界は終わった。


聖書にあったハルマゲドンはこれを云っていたのだろうか、おぉ、神よ、神よ…。





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