AEVE ENDING
『…弱くなっているお前の自我が、修羅の狂気に飲み込まれているのだ』
移植されたばかりの、暴力的な核に。
意識が定まらないまま視線は流れて、私ではない私が、求めたもの。
「…君は人殺しだ」
あぁ、この果実は、罪の味がする。
「罪悪に濡れる修羅に成りたまえ。君には、それが一番の贖罪になる」
静かに、私を諭す声。
白濁に目眩がする。
「…いや、だ」
振り絞った声は、掠れてうまく伝わらない。
「───何故、拒むことができる?君にそのような権利はあるまい。かの「犠牲者」も、それを望んでいるだろうに…」
ぞっと背筋が凍りつく。
まるでその「男」に、見つめられているように。
「犯罪歴を持っていたとはいえ、国の犠牲になった憐れな男は、」
だって。
(家族がいたんだ)
(飢える家族の為に、ただ一度の罪を働いただけ…)
―――だって。
『感情を棄てろ』
『完璧な神に』
「果たしてそれを、罪と呼べるかね?」
或いは呼吸を、停めてしまえばよかったのか。
『…いつからそんな化け物になっちゃったの、倫子』
裏返る、残酷な、声。
「い、やだ…」
だれか、たすけて。