AEVE ENDING
「…っ、」
圧しているようで未だ決定打を与えられぬまま、どれほど時間が経過したか。
真醍からは知らず舌打ちが漏れる。
刀と丸腰。
決着が着かないこと自体、尋常ではないのか。
「…粘るなぁ、オイ」
「粘って欲しくなければ、早く倒れろ」
互いに息も荒くなってきた。
決定打がないだけ長時間の闘いに傷も増えた。
これでは無駄に体力と気力を消耗するばかりだ。
見れば、鐘鬼も脂汗を浮かべている。
殴る蹴る、を受けて内部にダメージを負う真醍とは違い、刀傷による出血と傷みによるものだろう。
滴る自らの血に足元を掬われないよう、鐘鬼は傷という傷を布で塞いでいた。
そして、真醍の刀を避ける為に起こした爆発も大小関係なく、八回。
それらの被害も蓄積してのことだろう。
息が荒い。
(バテる前に、決めるか)
互いに、そろそろ引き時だ。
チャリ…。
次を最期、と好戦的に挑発しながらも、刀を前に構える。
感じとる空気に混じる、血臭と逃れようもない殺気。
「……、っらぁ!」
閃光が煌めくが如く閃いた刀先が鐘鬼の首を狙う。
(…踏み込みが深い、)
―――ヂ、ッ。
首を霞める寸前。
自らが起こした電流の壁で、それをなんとか跳ね返す。
視線をさ迷わせ、一秒。
真醍の左太腿に狙いを定めれば。
「甘ぇよ!」
その太腿を掲げ上げられて阻止される。
すぐさま上げた腿を戻し素早く軸足にして回転させた蹴りが、鐘鬼の半身を仕留めた。
「カッ…」
身を庇った腕が軋む。
荒く血を吐き出した鐘鬼はしかし、間髪入れず無事なほうの腕を前方に振り上げた。
真醍の眼球に触れる瞬間に、グチリ、と指先が鳴いて。
「…っぐぁ」
反射的に退けぞったお陰か。
真醍は瞼を傷つけるだけで済んだ。
ヂリ、と鐘鬼の指先が未だ、鳴る。