AEVE ENDING
「そ、それだけじゃないんだなぁコレが!それで、それでね…なんだったっけ、……あっそうそうペア復活だからね!部屋!そう部屋!部屋もペア結成当初みたいにね、相部屋だから!雲雀くんの部屋ね!いや、あっちのが広いし景色良いしベッドシルクだし!今のは邪魔しちゃったけどあっちでやっちゃうほうがね、色々都合も良いんじゃないかなって!風呂も広いからね!それこそあんなプレイもできちゃうぞー……ってぎゃ―――!!!」
散々、低俗な台詞を喚いたかと思えば最後、自分がなにを言っているか気付いて悲鳴を上げて出て行った。
それにアミも続くが、ハッと気付いたように立ち止まる。
「ひひひひひばりくん!」
「誰それ」
「み、みみみみ倫子を、よろしくね!」
それは彼女なりの挨拶、なのだろうか。
「……うん」
だから素直に頷けば。
(…あの雲雀くんが「うん」、だって!)
キュンとなっていた。
あああありがとう!
アミは盛大にそう叫ぶと、やはり奥田同様、慌てて倫子の部屋から出て行った。
動揺しながらも精一杯の気遣いで、きちんと扉を閉めて、鍵までして。
「……、」
溜め息しか出ない。
阿呆の嵐が去って、静寂。
倫子の馬鹿みたいに大きい心拍音だけが、妙に耳についた。
「…橘」
見遣れば、うつ伏せになったまま枕を握り、ハラハラと涙を流す、小さな背中。
「…もう、しないよ」
やる気、削がれたし。
ただでさえ思春期の男らしくなく、その方面には淡白だというのに、数年分の性欲を根こそぎ嵐に持ち去られた気分になった。