AEVE ENDING
(…あぁ、厭な眼だ)
この手のタイプは、何度か拝んだことがある。
あの忌々しい「研究者」の中にも数人居た。
人が及ばない、神の力を有する者に対する、羨望と畏敬。
「貴方はきっと、あの方の素晴らしさにまだ気付いてらっしゃらない。あの方の威光を目の当たりにすれば、肩を並べることすらできない筈だから…」
説法を聞きながら、倫子はちらりとベッド上の雲雀を見た。
彼らからは見えない死角に庇いながら、そろりと。
(…ねぇ、)
無表情で古書をめくる雲雀に、知らぬ内に声を掛けていた。
この手のタイプを下手に刺激しては、雲雀本人にもなにか手を出しかねない気がしたからだ。
しかし雲雀は答えない。
完全に我関せずを決め込んでいる。
―――なら、いいか。
「唯一無二の神に、パートナーなど必要ないのです」
エセ信者は、尚も続ける。
恍惚とした瞳。
それは、まるで。
「私達は耐えられない。他のアダムよりも劣る、汚らわしい人間のような貴方が、あの方の隣に居ることが」
「あの方は孤独であるべきなのです。なにものにも染まらず、ただ、あの方は真っ白であるべきなのです」
あぁ、酷く、陶酔している。
雲雀に付き従う神の従者さながらに、絶対的な者に虐げられる脆弱で従順な己に、酔っているのだ。