AEVE ENDING






「まだ微熱がありますね。お粥食べれますか?」
「卵粥がいいなぁ」
「ふふ、卵粥ですよ」
「我儘」
「いたっ…!うっさいな、病人は甘えたいもんなんだよ!」
「もう、兄様!叩いちゃダメですよ!倫子さん、起きれそうですか?」

真鶸が心配そうに倫子を覗き込む。

かわいいかわいいかわいい。


「まひわーおこしてー」

倫子は調子に乗った。
手を伸ばせば、真鶸はそれはもう愛らしく笑ってくれる。

かわい……。


バシ。

真鶸が倫子の手を取る寸前、伸ばしたその手が払い落とされた。

「ちょっと、伝染るから触らないでくれる」
「ヒトを病原菌みたいに言うな」

このブラコンめ!

真鶸が手にしていたトレイには、無臭のキャンドルの他にと卵粥と水、そして紅茶。


「…一緒にいてくれるの?」

ふたつのティーカップを見る。
明らかに真鶸と雲雀の分だ。

思わず問えば、真鶸はやはり愛らしくはにかんだ。


「だって、ひとりで食べるのは寂しいから…」

以前、同じ思いをしたのだと言うかのような発言。
真鶸、なんてかわいい子なんだろう。


「まひわ、かわいい」

倫子は思わず、その小さな身体をぎゅーと抱き込んだ。
それを横目に見ていた彼の兄に、ぺちりと叩かれる。


「いいから早く食べて寝なよ。真鶸、これくらいでなに赤くなってるの」
「ご、ごめんなさ、…」

ケッ、雲雀ってばかわいくねー。

お前もこれくらい可愛げがありゃ、今よりもっと愛されるだろーよ。

口には出さないけど―――殴られるから。

未だ真鶸の愛らしさを堪能する倫子を、雲雀が静かに見据えた。
その意味深な視線に、倫子が首を傾げれば。

(…橘、真鶸は今日が初日なんだよ)

テレパスが飛んできた。





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