AEVE ENDING
「…あ、ごめん。食う」
雲雀が言わんとしてることに気付き、慌てて真鶸から離れる。
そうだそうだ。
真鶸は今日、この箱舟に来たばかり。
疲れていない筈がないのに。
(私ってば、自分のことばかりだな……)
申し訳なくなりながらも、倫子は差し出された卵粥を手に取った。
ほくほくと湯気を立てた粥は、それはもう優しくって暖かくて、涙が出そうになる。
「―――そういえば、先程行った食堂で奥田先生が仰られていた新制度交流セクションとはなんのことなんですか?」
ほくほくと卵粥を食べる倫子を見守りながら、真鶸が口を開く。
―――新制度交流セクション?
「なにそれ、初耳」
倫子がベッドから身を乗りだして、真鶸の肩に顎を乗せる。
肩が細くて折れそうなのですぐにやめた。
合同セクションは現段階での西部東部箱舟の合同学習制度として、…新制度交流セクション?
聞いた覚えもない。
「それは、そうだろうね。交流セクションについては、奥田が勝手に暴露しただけで、一般生徒にはまだ知らされていないから」
雲雀が硝子張りの向こう側を眺めながら、言う。
完全な闇にはならないこの膿んだ夜に、雲雀の端正な顔はよく映えた。
その端麗に、真鶸と揃って見惚れながら。
「あんたは知ってたわけ?」
口振りからしてそのようだが、一応の一般生徒である雲雀が何故そんなことを知っているのか。
「さぁね」
―――聞けばわざとらしく視線を外された。
紅茶をすする様に、この男の情報源はなんなのかと半目になった。