AEVE ENDING
『あなた、だれ?』
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ……。
「…、」
ざわつく影が浅ましい。
その異様な空気に、ロビンもアナセスも、そしてニーロはじめとする合衆国アダム達は、ただ唖然とするしかなかった。
異常さを孕む大勢の声は大きなうねりとなり、私を飲み込もうとする。
「オマエ、一体、ナニ?」
ロビンが訝しげに吐き出した。
何者かはっきりしてるなら、それはそれで救いであるのに。
『オマエの無様な体は、もう機能すまいよ』
遥か彼方の、古い記憶ばかりに縛られて。
『産むのはきっと、』
―――ヒトの狂気。
「…ジャパニーズ、オカシイ」
捕まれていた襟元から力が緩む。
アナセスをその場から遠ざけようと離れたロビンをよそに、ざわつく人塊の中からこちらに向かってくる、数人の黒服。
―――見覚えがあった。
修羅の崇拝を語る、愚者の群れ。
「…無様ですね、橘倫子」
冷笑を讃える様はまるで罪人を咎める審判の如し。
なんて、浅はかな。
「生きている意味など、はじめからなかったのです」
諭す声は、罪悪。
「アダムとしてもヒトとしても未完成な貴方が、我々の修羅の刻を一時でも独占していたことは、償うことすら不可能な重い罪になる」
告げられた罪は、私を切り刻むもの。
「…聞きなさい、この声を」
コロセコロセコロセ……。
陶酔しているのは、皆、同じか。
種を明かせばただの集団心理であろうどす黒い波は未だ治まることなく、教師達が収拾に奔走している。
政界関係の賓客の中にまで、こちらに野次を飛ばす者もいた―――恐らくは、あの研究を知る者だろう―――彼らは闇研究の産物である私を始末したがっている代表格だ。
みなが、みな。
(私に消えて欲しいのか…)