AEVE ENDING
「おぉおおおータチバナーン!無事だったかぁあああ!」
「ぎゃあぁぁっサルゥエエエ!?」
真醍が倫子に強烈なタックルをかます。
奇声を発して弾かれた倫子と真鶸を、鐘鬼が受け止めた。
「別状ないようだな」
相変わらずな倫子に、鐘鬼も普段は見せないような微笑を浮かべている。
大変面白くない光景だが、そこに奥田も加わり全て引っ掻き回された。
「倫子っ、良かった…!父さんはもう生きた心地がしなかったよ…!」
「寄るな変態」
「倫子おうおうお父さんは悲しいよぉおお!」
「オトーサン、キモチワルイ」
「奥田先生は倫子さんの親御さんだったんですか…!」
真鶸は真鶸で、衝撃を受けているし。
―――全く以て、ここまで周りを騒がしくする人間も珍しい。
(…恥じることも負い目を感じることも、必要ないのに)
きみはあいされているよ。
ぼくいがいの、きみのすべてを。
「…あんな風に、ずっと素直に笑って、幸せになってくれたらいいのにね」
雲雀の考えと連動するようにササリが呟いた。
―――幸せ。
その定義はあまりにも不可解で、不確かだ。
「雲雀さんは、倫子をどうする気なの?」
ぎゃあぎゃあと騒がしい連中をよそに、静かに微笑を浮かべるササリが窺うように雲雀を見ていた。
穏やかな笑みを浮かべていながら、その眼は真剣。
愚問だ。
「―――どうするもこうするも、それは僕が決めることじゃない」
助言も手助けもしてやらない。
代わりに、思いのまま制御しようとも思わない。
進むべき道を決めるのは、当人である倫子以外であってはならないのだ。
「…そう」
少し悲しげに、しかし潔く引いたササリの視線の先には、相変わらず倫子達が騒いでいる。