AEVE ENDING
「ワカッテルヨ」
「棒読み」
「まーね。楽しみはとっとかなきゃ」
だからその楽しみをやめろと言うのに。
ガキはガキらしく隠れんぼでもしてろ。
「…そういや、あと一人いたよね、面白いヤツ」
ヒヒッと不気味に笑うジニーの言葉に、すぐさま腹立たしい顔が浮かぶ。
アダムのアの字も感じられないほど希薄な存在のくせに、アナセスに毒を吐いた―――。
「あの、バカ女!」
女がアナセスの胸ぐらを掴んだ時のことを思い出せば、胃の真下がムカムカと苛立ってくる。
あのなにもかも見透かしたかのような眼が、大変気に喰わない。
『…幸せ者』
アナセスのなにを知るわけでもないくせに、したり顔でこちらを批難するあの顔。
思い出したことで、更に苛々が増した。
苛立ちに食われそうなので、この話には不参加を表明したい。
しかし、我関せずを決め込んだところで訪問者二人の会話は耳につくわけで。
「インパクトはシュラ以上だったわね…。このハコブネでも嫌われていたようだし」
あの「コロセ」コール。
日本人はイカれていると本気で思った。
「つうか、外交官夫婦を血祭りに上げてんのが意味不明ー超ウケるー」
ウケねーよ。
あの外交官夫婦とは何度か話をしたことがある。
アナセスをいたく気に入り、是非シュラに会わせたいとこの留学システムを考案したのも彼らだった。
「あれは尋常じゃなかったわよね」
「つうか、アイツらの言ってることぜんぶ理解フノー」
確かに。
目の前でいきなりリンチを始めたかと思えば、口にする言葉はどちらも断片的過ぎてなにがなんだかわかりはしない。
―――否、わかりたくもないが。