AEVE ENDING
「…ごめんね、真鶸」
それを考えると悪いことをしたと後悔が顔を出す。
謝罪の対象は勿論、あの二人でなく、あくまでも真鶸ではあるが。
謝罪を口にする倫子を、真鶸は泣きそうな顔で首を横に振った。
雲雀からなにか聞いていたのか、いやに物解りがいい。
どちらにせよ、真鶸を悲しませるのは本望じゃない。
頭を撫でれば、はにかむ笑顔がようやく見れた。
独房の件については、必然。
タヌキが死んだ―――昨夜死亡したと報告があった―――と聞かされたところで、ザマアミロとしか吐けないこの口を閉じようとも思わない。
ただ少し思うところがあるとすれば、雲雀の綺麗な手を、あの変態狸なんぞで穢してしまったことだった。
思うところあってふらり、雲雀を見やれば、必然であろうか、目があった。
「あんな小汚ない男に僕のものを犯されるよりマシ」
ストレートに吐きだされた台詞。
真鶸と共に倒れそうになった。コントか。
「…いつかセクハラで訴えてやるから覚悟してろ」
照れ隠し故の本音。
それを受けた雲雀は涼やかな表情はそのまま、溜め息を吐いた。
「助けてもらったくせに、礼儀がなってないね」
パシリ。
お仕置きだと言わんばかりに跳ねた前髪を叩かれた。
じゃれられているのか。
「お前にそんな説教されるとは思わなかったよ。随分自分のこと高い棚に上げやがって」
「もうこんな時間か…。真鶸、食事に行くよ」
無 視 か よ …!
真鶸を連れだって遠ざかる雲雀に中指を突き立てようと怒りで震えた手を振り上げる。
育ちの悪さには自信があった。