AEVE ENDING
―――事例、其の三。
その前は、東部箱舟の教諭カジモトという人物と授業中、はた迷惑なケンカを始め、相手が教諭であろうがその拳は引くことを知らない。
結局、雲雀の弟が止めに入って事態は収拾した―――カジモトの教師らしからぬ態度にはアナセスも機嫌を害していたので、これに関してはタチバナミチコ、天晴れ、である。
―――事例、其の四。
一般回廊で、いきなり金髪の大男と本気の喧嘩を始めたかと思いきや、お互いに熱の入り様が半端でなく、回廊の支柱を二本破壊。
一時はハコブネ崩壊の危機に。
(…歩く爆弾だ)
その他にも書ききれないほどの暴挙があるが、我々「マリア」はあのダンパ以来彼女には近付いていない。
ニーロ曰く「人間のような」タチバナミチコ。
その裏に、「なに」が隠れているのか―――。
ジニーはジニーで相変わらずタチバナミチコに興味があるらしい。
たまにストーカー紛いのことをして、タチバナミチコに訝しがられていた。
このセクション制度上、「修羅」と関わるのは必然ではあるが、タチバナミチコが我々を避けるようにしているのか、挨拶のひとつも交わさない。
ダンパでの凶行は事実であるのに、何故か無罪放免となり、これに関して異を唱えた俺にアナセスは言った。
『―――当然です。あの人はなにも悪いことをしていません』
…と。
アナセスはアナセスでタチバナミチコに感じるものがあるらしい。
最近などは、「修羅」とタチバナミチコの話題が半々になってきたくらいだ。
いや、しかし。
(アナセスには謝罪のひとつあって然るべきだと、俺は思う)
タチバナミチコ。
ともすれば、「修羅」より謎めいている。