AEVE ENDING






「お前は、いつもいつも!」
「そりゃこっちの台詞だ。バカの一つ覚えみたいに橘橘橘橘。そんなに私が好きかばあか」

強かなお言葉である。



「この…っ!」

ぶうん。

鼓膜に触れた風切り音は重く、クソ教師のくせになかなか良い拳を打つ、と倫子は無駄に感心した。

その拳を難なく避けれるこの反射神経は、研究時に身についたものと、あとは雲雀に比べればこんなパンチ屁でもない。

どっちにしろ、梶本の拳が倫子に当たることはないのだ。

完全に振り被って空振ってしまった梶本の怒りは更に増し、額に浮いた血管は今にも破裂しそうだ。

というか、破裂してしまえ。


「いちいちイチャモンつけてきやがって。私に構う暇があるなら雲雀とアナセスに付けよ!テメーの大好きな優秀なアダムってやつによ!」

避けた勢い、そのまま脛に蹴りを一発お見舞いする。
痛みに跳び跳ねた梶本に勝利の笑み。

自然、雲雀を見やれば。



(あ、笑ってる)

よくやったね、の笑み。

大変、満足である。




「…はいはい、君たちやめましょうねー。梶本せんせ、セクション中ですよ。ほら、指導にいかなきゃ」

梶本が再び倫子に向かってくる前に、タイミングよく奥田が登場した。
産休中のミスレイダーの代わりに、期間限定で保健医兼実技講師も勤めている。

悔しさに顔を歪めながら去った梶本にべろりと舌を出す。


(バカヤローが)





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