AEVE ENDING
(一体どうしたんだよ、バカスズメ)
しかし、心配が過ぎれば次に沸くのは怒りなわけで。
「オイ、」
短く吐き出した呼び掛けはやはり不機嫌を体言するように低かった。
「いい加減にしろよ!」
バシーン!
三度目の追撃。
今回は渾身の一撃である。
ザマミロ。
「…痛い」
ゆらり、静かに立ち上がった雲雀がこちらを睨みつけてくる。
反応したかと思えばこれだ。腹立つ。
「馬鹿のひとつ覚えみたいにバシバシ人の頭叩いて何様なの。殺すよ」
久々に聞いたでもない唯我独尊大魔王っぷり。
寧ろ産むこどもが悪魔か魔王か。
「テメーが反応しねーのが悪いんだろが!徹底して無視しやがってなにガキみたいに不貞腐れてんだよガキ!」
「ぎゃあぎゃあ喚くしかない君に言われたくない。黙れば」
「誰が黙るか!いちいち人のこと見下しやがってうぜーんだよこのクソスズメ!寧ろスズメのほうがまだ性格いいよな!クソガキだよ!テメーはただのクソガキだ!」
「…殺す」
「やれるもんならやってみ、っぞぎゃぁぁああぁぁあっ」
「きゃぁああっ倫子さん!」
「煩い。もう話し掛けないで」
パタン…。
そうして雲雀は倫子に激痛とやるせなさを残し部屋を出て行った。
『もう話し掛けないで』
―――なにそれ。
なにそれなにそれなにそれ!
「な、に、言ってやがんだ、アイツ、ちょ、鼻いた…、もげてない?もげてない?真鶸!私の鼻踏まないで!」
「落ち着いてください倫子さん!お鼻もげてません!」
「嘘!だって痛いもん!」
「氷、持ってきます!」
パタパタとキッチンへ引っ込んだ真鶸の背中が、部屋を出て行った兄のものと被る。
(あのヤロウ…なんだよバカ!ひとりで飯食う気かよ、ムカつく…)
もげるような痛みとは別の意味で、鼻がつんとして泣いた。