AEVE ENDING
「本来ならば、各ポイント毎にアダム数名を派遣させる仕事だが、君たちはまだ訓練生だ。我々が分布する中のひとつを今回このセクションの為に譲って貰った。当然監視下にはあるが、油断するなよ。下手すれば命にかかわるからな!」
梶本の隣に控えていたプロのアダムが生徒達に喝を入れるよう怒号を上げた。
かつてない危険任務―――北の島はともかく―――に、招集されたアダム達にも戦慄が走る。
「甘ったれを大勢引き連れたところで、邪魔になるだけだろうに」
雲雀が面倒だ、と言わんばかりに吐き捨てた。
まあ確かに、箱舟という温室で育てられた彼らに手放しの期待はできそうにない。
(…特に、東部の奴等は坊っちゃん育ちだからな―――)
理屈はあるが、行動は伴わない。
参加アダム達を見れば、東部の制服が圧倒的に目立つ。
確かに実力だけはあるのだが―――。
「どっちにしろ、監視下にあるんなら問題ないか」
「君が一番危ない」
「わかってるよ!」
テレポートどころか、最低ラインのサイコキネシスすら使えないから自分が誰より皆の足を引っ張るだろうことは承知している。
「尚、米国からの大使である「マリア」のメンバーも参加する。彼女らのほうが実力的には上になるが、くれぐれも彼女達や、雲雀くんの足を引っ張らないように―――特に、橘倫子!」
それは梶本もよくわかっているらしい。
マジック程度しか使えない倫子、しかも他のアダム達とは不和の不和。
(…まあ、不安要素ではあるな)
しかし言われっぱなしでは悔しいので、こちらを怒鳴りつけてきた梶本になめた視線を投げ掛け、嘲りに鼻を鳴らした。
「そんなん言うならメンバーに入れるんじゃねーよカス本」
「なんだと!?」
「怒鳴るしかねーなら引っ込んでろ!」
またかとばかりに溜め息を吐く奥田とアミ、嫌悪丸出しに倫子を見ている他の生徒達。
なぜか狼狽えているロビンに、変わらず穏やかな笑みを浮かべているアナセス、唖然としているプロのアダム達、その他大勢。