AEVE ENDING






(今はもう、背中を預けることすら、躊躇しない)

それは雲雀もだ。

倫子にだけもたらされた変化ではなく、確実にそれはふたりの仲に浸透している。

(過去を知られれば、雲雀に始末されると思っていたから)

だからこそ、醜く恥も外聞もなく隠し通すことに必死であったのだ。

(醜さが露呈すれば、雲雀はきっと私から去るだろうと)

それを恐れていたのかもしれない。

なにより、この低温が離れてしまうことだけが、怖かった。


(私を殺す男を失いたくなかっただけ?)


―――あぁきっと、それだけじゃない。






隣を見上げれば、凜と前を向くその横顔がなにより、その意味を形取る。


(…私の秘密も醜さも、全部受け止めて、受け入れてくれたから)

腹の中に潜む真っ暗な感情や過去をただ、「私」というものの一部として見てくれたから、だから。


(―――ねぇ、)

私にとってあんたは唯一、「わたし」を見てくれた存在だけれど、私の暗い想いすべてを掬い上げてくれたけれど。


(…わたしは、あんたになにができるだろう?)


そのきれいな体の奥底になにを隠してるのか。

私にはまだ、それを知る資格はないのだろうか。






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