AEVE ENDING
かあさま―――そう口にしようとした時、白に反した色が見えた。
(父様…?もう起きて平気なのかな)
直感、と言ってもいい。
怪しさを覚え、つい、開けた扉を閉めて耳を傍立ててしまった。
ボソボソと届く会話に神経を集中させれば、鮮明になる言葉達。
「―――…しかし、唐突過ぎる。アナセスの意思はとにかく、米国がどう出るか」
(…父様、いつもより声が荒い)
いつも穏やかな笑みを浮かべ、男性の激しさを見せたことのない父が。
「…いいえ、いいえ!これ以上、あのバケモノの傍に雲雀さんを置いてはおけません。アレの吐き出した息を雲雀さんが吸っているというだけで悪寒が立ちます。雲雀さんが、神が、バケモノに穢されてしまいます!」
真鶸の前では一度も見せたことのないヒステリックな声で母が叫んでいた。
(バケモノ…?)
米国アダムの歓迎パーティを思い出す。
(―――倫子、さん…?)
まさか、そんな。
「彼の血脈を残すことはなによりも大切だ。大体、その件に関しては雲雀くんが成人してから国家最重要項目として取り組むことになっている」
「アナセスの他に適任はいません。雲雀さんの遺伝子に見劣りしない、彼女もまた至高の存在ですもの」
遺伝子…、血脈、兄様の結婚相手?