AEVE ENDING
(…きっと皆が皆、自らの手で審判を下したかっただろうに)
けれど、それすらできぬ己を悔やみながら、そうして彼らの意思は、僕に引き継がれた。
―――それなのに。
「ひばり?」
何代も続いた輪廻の結末である僕は、最後の最期で、見つけてしまった。
「…希望なんて、知りたくもなかった」
潮風に揺れる、その痛んだ髪に触れるだけで、胸が焼けて。
「ひば、」
その唇が名を呼ぶ度に息が止まり、引き止めるように塞いでしまう、衝動に。
(こんなの、)
知らなくて良かった。
彼女を知らないままの、世界に絶望しか見い出せなかった頃のままの僕で、良かったのに。
触れた唇から呼気を感じる。
暖かい。
生きていた。
必死に、生きてきた。
(それを、)
僕の手で、止めたくない。
「…、」
ゆっくりと唇を離せば、真っ直ぐにこちらを見る眼と空中でかち合う。
逸らせないまま、ただ、見ていた。
「雲雀」
遺伝子に組み込まれた務めも、今まで繰り返されてきた輪廻もすべて、なかったことにして。
「…泣きたいの?」
頬に触れた温もりを抱いて、静かに眠りたい。