AEVE ENDING






「そうして神と贋作の間になにがあると思う?」

それは答えのない、ある筈のない問いだった。


「なにを、…お前は」

不穏を感じとり慶造が立ち上がる。

しかし既に、種は撒かれていた。





「…っ、が、」

不意を突かれ―――なにより肉親への油断で―――、桐生は胸への衝撃に壁に激突した。

桐生はただ、静かに目を細めてこちらを見ている。






「…雲雀は、選ぶだろうよ」

それは確信、であるのか。
桐生の渇れた唇から吐き出されたそれはまるで変えようのない予言のように、慶造の耳に届く。


「…だからこそ、後継者が必要なのだ」

破壊遺伝子を持つ者を。

更に後世へと、更に更に、先へと引き継ぐ為に。

この世にあった悲劇から、更なる痛みを産み出さないために。


「…桐生」

その言葉に、慶造は目を見開いた。

それでは、まるで―――。





念糸のせいか身体がうまく動かなかった。
気付かぬうちに、話し込んでいる間に、蜘蛛の糸のように張り巡らされていた、それ。



『橘だけは、無理だ』


それはなにより、父代わりの己には嬉しい言葉であった。



『僕は、橘を、殺せない』


そうして、では、選んだものは。





「まさか、―――桐生」


神である雲雀。

受け継がれた破壊遺伝子。
雲雀に委ねられるふたつの選択肢。

雲雀の細胞を移植された、ふたつの贋作。





ひとり、マヒワ。

ひとり、タチバナミチコ。





『雲雀は、選ぶだろうよ』




それは、つまり。








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