AEVE ENDING
「橘に何の用だよ!」
アナセスをニーロに任せ、ロビンが飛び出してきた。
一気に双子へ駆け寄ると、ふたり分の両腕を器用に束ね、そのまま鉄骨の隙間へと叩き落とそうとする。
「…っやめ、ろ!バカ!」
操られているだけの双子を、無闇に傷付けたくない。
双子の体を束ね、その上に乗り上げた状態で直下してきたロビンの真下に潜り込んだ。
双子の両腕を掴みあげていたロビンの腕を外し、そのままロビンを連れて双子から離れる。
「―――莫迦な真似を」
不愉快な白濁が嗤う。
瞬間、自由になったリィの長い爪が宙に閃き、倫子の瞼は引き裂かれた。
「…っ、」
皮膚が美しい曲線を描いて剥がれ落ちる。
「っ橘!」
ひりひりする痛みと共に片目の視界を失い、バランスを崩した倫子をロビンが抱えて着地した。
ずるり、生暖かい血液が眦(まなじり)に溜まり、気持ち悪い。
足場の悪い瓦礫と鉄骨が凹凸を作る地面に、ぱたりと赤い滴が垂れた。
―――雲雀はただ、黙って佇んでいた。
(決着を着けろと、…そう言ってる)
桐生と、私の。
(手出しはしない)
―――だから。
冷たい風は北から留まることもなく吹き荒み、冴えざえとした空が妙に近い、あぁ、まるでこの場所は。
(生きろ)