AEVE ENDING
―――その日の朝、自室のベッドで健やかに眠る倫子を雲雀が彼なりに優しく優しく気遣いを見せて起こした。
原則六半時起床の箱舟で、八時が過ぎても馬鹿みたいに眠り続ける生徒は倫子くらいだろう。
それをパートナーとはいえ、律儀に起こしてやるような性格ではない雲雀だが、何故か夜中に訪れた奥田に面倒を押しつけられた。
熟睡する倫子を抱えてやってきた奥田が、開口一番。
『ひばりちゅゎわわぁん』
バタン。
閉めた。
『あ、ちょっとそれ…あの、ほら、君の相棒をね、届けにきたの』
だから開けてチョ。
閉じたドアを、もう一度開く。
『何の用?』
『だからほら、コレ』
雲雀の腕に、ドサリと倫子が放り出された。
(…要らないのに)
完全に弛緩しきった倫子の体を引きずるように部屋に引き込む雲雀を、奥田はさも可笑しそうに見ている。
『雲雀くぅん。悪いんだけどね、こいつベッドに寝かせてやって。床に放り投げるとさ、アレなのよ、こいつすぐ筋肉痛起こすから。あ、多分寝坊するから、明日の朝もちゃんと起こしてやってね。もし放置プレイなんて粋な真似しちゃったら、セクション参加資格剥奪しちゃうゾ!…ここだけの話、このセクションで進級できるかできないか決まるからね。頑張ってね、倫子と一緒に。じゃ、おやすみちゃーん』
そう早口に言い捨てた奥田を見送り、雲雀は床に転がった倫子を見遣った。
確かあの教師は、女生徒を喰い物にする男ではなかったか。
『……』
追求はしないが、こんな抱いても味もクセもないような女に手を出す節操なしにも見えない。
『う、ぁ』
ズルリと引きずれば、当たり前のように呻く。
雲雀は気にした風もなく倫子をシーツの上へと放り投げた。
勿論、倫子のベッドである。