たった一人の生存者

まだ担当教員も退室していないのに井之上は二年三組の教室に入って来た。

「うっ…。」

恥ずかしそうに井之上は扉を閉め二年三組の教室を後にした。

「んっ！これで授業を終わります。」

担当教員は一度咳ばらいをし、教室を後にした。

昼休みに入った教室では、鞄から弁当を取り出す者、購買・食堂へ走る者、外に抜け出し外食をしようとする奴、等様々だ。

幸平は弁当だった。毎朝母が早起きをして作ってくれる。

まぁ殆どが冷凍食品で手づくりなのは幸平の好きな甘い玉子焼きぐらいだ。