たった一人の生存者
「なにおう!これは俺のメインディッシュ譲る訳にはいかん!」

井之上は断固として拒否した。井之上もテンションが上がっている。

「そうか…。」

そう言って幸平は甘い玉子焼きを一切れ口にほうり込む。

「おぉう。甘くて旨い。」

「ぬぅ。」

井之上はゴクリとなまつばを飲んだ。

「残りは二切れだぞ。」

幸平が下から井之上の顔を覗き込みながら言った。

「しかたない!この肉持ってけ!」

「よっしゃ!」

弁当おかず争奪戦は幸平の勝利に終わった。

「ごちそうさま。」

二人で声を合わせ、昼食を終えた。
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