たった一人の生存者
「はい。わかりました。」

こんな偶然もあるんだなぁと思い幸平は再び外を見た。

空は暗くただ雨が降っている。

いや、校庭に誰かいる。

傘もささずに。

確かに雨は降っている。

でも誰かいる。

雷も鳴り始めた。

それでもいる。

ただ立っている。

「岡本前向け!」

教師に怒鳴りつけられ幸平は授業に戻った。

男か女かさえわからない。教師か生徒かもわからない。

幸平の視力はあまり良くない。でも何もわからない程ではないはずだ。

誰かいた。

雨は降っていた。

雷も鳴っていた。

誰かいた。
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