たった一人の生存者
幸平は手招きをする榊原の方へと向かう。

「どうだった?」

「何がですか?」

急な榊原の質問に戸惑いながら幸平は尋ねた。

「ウケをとるっていいもんでしょ。」

さっきの掃除時間の事を言っているようだ。

「岡本君っていつもすかしてるけど、本当はもっと喋る子だって事知ってるんだから。」

榊原は胸を張りながら言った。

「はぁ。」

「駄目駄目。もっとテンション上げていこう!」

幸平の気の無い返事に榊原は突っ掛かる。

「自分を隠さずに。ね。このクラスに馴染みきれてないみたいだけど、君なら大丈夫!」
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