たった一人の生存者
「よう。まぁそこの席座れよ。」

井之上は自分の向かいの誰かの席に幸平を座らせた。

「でさ、昼の続きなんだけど。」

井之上は中断された話の続きを始めた。

「あぁ。何だったんだ?」

「実はさ、この学校の裏の山あるだろ?」

幸平は井之上の話にただ頷いて聞く。

「出たらしいんだよ。」

「何が?」

「幽霊が!」

…………。

「ははははははっ!」

二人は顔を見合わせて同時に笑った。

「そんなもんいる訳ねぇだろ。」

幸平は笑いを堪えながら言った。

「でもさ、見たって奴がいるんだって」
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