たった一人の生存者
……………。

この状況で何故こんなに冷静なのか?そんな疑問の前に血の気が引いた。

「よっと。この子お願い!」

幸平は蘭を抱き抱え、香奈子の隣に座らせた。

「わかった。」

香奈子は少し震えながら、幸平を見つめ、蘭をギュッと抱きしめた。

幸平は勝を追い掛けるように走った。

「うわっ!揺れて上手く走れねぇ。」

その頃勝は揺れる電車に苦戦していた。勝は興奮、焦りの為か平行感覚が鈍っていた。

ドンドンドン!

運転士室の扉を勝は殴る、蹴るしたが、全く反応が無い。
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